Favorite songs of mine from Ireland, Scotland, … and Japan

気がついたらアイルランドとスコットランドの曲にはまっていた日本人が気が向いたときに歌詞と訳を載せています

TITLE: The Monto(ザ・モント)
AUTHOR: George Hodnett(ジョージ・ホドネット)
PERFORMER: The Dubliners(ザ・ダブリナーズ)


東武伊勢崎線で始発駅浅草からいくつめかに「玉の井」という駅がありました。ありました、というのは、今からずいぶん前に「東向島」という駅名に変更になったからです。駅名が変更するにはそれなりの理由があるのでしょうが、情緒ある駅名だったのになあ、とひとり昔を懐かしんでいます。

それはさておき、アイルランドのダブリンで19世紀の終わりごろに起きた事件があります。「フェニックス・パーク事件」と呼ばれているのがそれです。当時のアイルランドはイギリスに属しており、当然独立したいと思う人たちは数多くいたわけです。ところが、そう簡単には独立させません。

1882年5月、当時アイルランド国務相になりたてのフレデリック・キャベンディッシュ卿とトーマス・ヘンリー・バークがフェニックス・パークを歩いていると、暴力も厭わない過激派により殺されてしまいます。この事件の首謀者の一人がジェームス・ケアリーという男で、何とこのケアリー、あろうことか仲間を警察に売って自分は罪を逃れます。こうなると黙ってはいられないのが仲間たち、中でもパトリック・オドネルという人物は、このケアリーを射殺します。

裏切りはいけません。


The Monto: ザ・モント、アイルランドの首都ダブリンにあるモンゴメリー・ストリート(Montgomery Street)の愛称で赤線地帯(the red light district)だったところ
langaroo: ランガルー、何語であるかも意味も不詳、カンガルーしか頭に出てこないが、絶対にカンガルーではない
wing-o: ウィンゴー、1ペンス硬貨の愛称、日本人が「諭吉1枚」というようなものか
Ring-o: リンゴー、リングゼンド(Ringsend)、ダブリンを流れるリフィー川の河口の場所
Buckshot Forster: バックショット・フォースター、ウィリアム・エドワード・フォースター(William Edward Forster)、フレデリック・キャベンディッシュ卿の前のアイルランド担当国務相、バックショットというあだ名は市民への発砲を許可したからといわれているが詳しくは不明
the Furry Glen: ザ・フーリー・グレン、フェニックス・パーク(後述)内にある森林地帯
Carey: ケアリー、ジェームス・ケアリー(James Carey)、フェニックス・パーク事件の首謀者の一人であるも仲間を警察に売って罪を逃れたとされる人物、残りの犯人は絞首刑
Skin the Goat: スキン・ザ・ゴート、ジェームス・フィッツハリス(James Fitzharris)、フェニックス・パーク事件の実行犯を事件現場まで乗せていたとされる御者
O’Donnell: オドネル、パトリック・オドネル(Patrick O’Donnell)、仲間を売ったジェームス・ケアリーを客船メルローズ号上でピストルで殺害した人物、のちに死刑
the Invincibles: ジ・インヴィンシブル、IRB(Ireland Republican Brotherhood、アイルランド共和主義同盟)の中でも過激な先鋒役のグループで、そのリーダーがジェームス・ケアリー
the Dublin Fusiliers: ザ・ダブリン・フューザリエズ、ロイヤル・ダブリン・フューザリエズ(Royal Dublin Fusiliers)、大英帝国の軍隊に所属するダブリン警護団
De Wet: デ・ウェット、クリスチアン・デ・ウェット(Christian De Wet)、ボーア戦争時に活躍したボーア人の将軍
the Linen Hall: ザ・リネン・ホール、兵舎の名前ではないかと思われるが確証なし
Vicky: ヴィッキー、ヴィクトリア女王(Queen Victoria)のこと
Czar of Russia: ツァー・オブ・ラシア、ロシア皇帝
King of Prussia: キング・オブ・プルーシア、プロイセン国王
the Phoenix: ザ・フィーニクス、ダブリンにあるフィーニクス・パーク(Phoenix Park)、アイルランド語ではPáirc(=park) an(=of the) Fhionnuisce(fionn + uisce = clear water)、つまり「水がきれいな公園」というので、そのfionn(ヒン)とuisce(ウィスケ)から「ヒンウィスケ」→「ヒーニスケ」→「フィーニクス」になってもおかしくはないだろうという願望はある
The Wearin O’ The Green: ザ・ウェアリン・オ・ザ・グリーン、アイルランドで昔から親しまれている曲の名、緑を身につけると大変なことになるぞ、という歌
the Queen: ザ・クウィーン、女王(ヴィクトリア女王)
Mister Me Lord Mayor: ミスター・ミ・ロード・メヤ、市長
póg mo thóin: ポーグマホーン、póg(「キスをする」という意味の動詞の命令形)、mo(私の)、thóin(tóin「尻」がmoの後にきて音が変わったもの)で、全体では「私のお尻に口づけをしなさい」の意
liathróidi: リロージ、アイルランド語のliathróid(タマ)の複数形


Well if you’ve got a wing-o, take her up to Ring-o
Where the waxies sing-o all the day
If you’ve had your fill of porter and you can’t go any further
Give your man the order, back to the quay

And take her up to Monto, Monto, Monto
Take her up to Monto, langaroo, to you

You’ve heard of Buckshot Forster the dirty old imposter
He took a mot and lost her up the Furry Glen
He first put on his bowler and he buttoned up his trousers
And he whistled for a growler and he says, my man

Take me up to Monto, Monto, Monto
Take me up to Monto, langaroo, to you

Carey told on Skin the Goat, O’Donnell caught him on the boat
He wished he’d never been afloat, the dirty skite
It wasn’t very sensible to tell on the Invincibles
They stood up for their principles day and night

Be goin’ up to Monto, Monto, Monto
Be goin’ up to Monto, langaroo, to you

You see the Dublin Fusiliers, the dirty old bamboozaliers
De Wet’ll get the childer, one, two, three
Marching from the Linen Hall there’s one for every cannonball
And Vicky’s going to send them all o’er the sea

But first go up to Monto, Monto, Monto
First go up to Monto, langaroo, to you

When the Czar of Russia and the King of Prussia
Landed in the Phoenix in a big balloon
They asked the police band to play The Wearin’ O’ The Green
But the buggers in the depot didn’t know that tune

So they both went up to Monto, Monto, Monto
They both went up to Monto, langaroo, to you

The Queen she came to call on us, she wanted to see all of us
I’m glad she didn’t fall on us she’s eighteen stone
Mister Me Lord Mayor, says she, is this all you’ve got to show to me
Why, no ma’am, there’s some more to see, póg mo thóin

And he took her up to Monto, Monto, Monto
He took her up to Monto, langaroo, liathróidi to you


小銭があったら、リングに連れてってやれ
ろうそく屋さんが朝から晩まで歌ってるから
酒をかっくらって動けなくなったら
港に戻れと御者に言え

女はモント、モント、モント
女はモント、ランガルー

鹿玉フォースターは老いぼれ詐欺師
連れの女にフーリー・グレンで逃げられる
山高帽被ってチャックをあげて
口笛で馬車呼んで、なんてこった

連れてけモント、モント、モント
連れてけモント、ランガルー

山羊面密告ケリーがオドネルに海で捕まり
船に乗るんじゃなかった、汚ねえぞ
インビンシブル密告はやっちゃあいけない
昼夜を問わず行動原理は崩さない

これからモント、モント、モント
これからモント、ランガルー

あのダブリン警団は汚いうそつき野郎
デ・ウェット子供をさらって、ひーふーみー
リネンホールから行進、弾の数だけ人はいる
でビッキーに送りだされて海越える

でも、その前にモント、モント、モント
その前にモント、ランガールー

ロシアの皇帝にプロイセンの王様
フェニックスにでかい気球で降りてくる
警察楽団にウェアリングリーンをリクエスト
でも穴倉の虫けらどもにはトンチンカン

だから二人でモント、モント、モント
二人でモント、ランガールー

女王がお見えになり、会いたいと所望
下敷きにならなくて一安心の百貫デブ
市長さん、見るものはこれでもう全部かしら
何をおっしゃいますか、まだありますよ、ケツナメロ

で連れてけモント、モント、モント
連れてけモント、ランガルー、タマクラエ


◆ ザ・ダブリナーズ(ルーク・ケリー)

◆ ザ・ダブリナーズ(ルーク・ケリー)


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